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第7話:新卒でNPOという選択

こんばんは。

今年で社会人3年目がもう終わる。大学3年生の頃にインターンをしたNPOで、大学4年から働き始め、卒業と同時に常勤職員になった。卒業当時は僕と代表だけの小さなNPOで、すべてをいちから作らねばならなかったし、研修はもちろんないし、自分で学ばないといけないことばかりだった。

新卒でNPOと決めたとき、多くの人に「先に企業に入ったほうが良い」や「NPOで生活できるのか」と言われた。事実、NPOで働く人の多くが企業出身者であり、それらのアドバイスは的を射ているとも思える。きっとこれから、新卒でNPOという選択に迷う人もどんどん出てくるのではないかと思う。

しかし、仕事としてのNPOが生まれたのはわずか20年足らずではないか。NPO法はわずか17年前に生まれ、NPOで働く人もきちんとした推計はないが、日本の総人口のわずか0.1%、10〜20万人しかいないと言われる。つまりNPOという仕事は発展途上なのである。

「先に企業に入ったほうが良い」というアドバイスはたかが20年の経験則にもとづいた、勝手な憶測にしか過ぎない可能性があるのだ。

 

人を育てる余裕のないNPO

NPOの多くは有給職員が数名という小規模な団体だ。慢性的な資金や人材不足に苦しんでおり、それらの団体に人を育てる余裕はないのが現状だ。一方で、一般的な企業は数ヶ月から数年の研修期間を組んでおり、一人前になるよう育ててくれる環境がある。また、資本主義社会において、そこで交わされるコミュニケーションはビジネス社会のものである。

そうした点で見れば、先のアドバイスは一理あり、より良い環境で研修を受けたり、ビジネスのコミュニケーションを学んだりするには企業は有利である。

しかし、重要なのは本当にすべての会社が真摯に人を育てることに向き合っているのかということと、育てられる環境でいることが本当に人を育てるのかということである。

とりあえず企業に行ったって、アドバイスのままに行ったって、必ずしもそれらが可能となる環境が得られるわけではない。

 

自分を自分で育てる場所

社会人3年が経って、確かにこれまで生活に余裕はなかったけど、どうにか生きている。その経験から得られた重要なのは、どこに自分が必要とする力が身につくかということに限る。

例えば、僕は大学生の頃に携わったNPOへのインターンやプロジェクトを通して、NPOのマネジメントや組織基盤の強化に関心を抱いた。それを学ぶべく、新卒でNPOに入り、それらの力を学んできた。もし企業に行っていたら、決して得られない経験と知見を積み重ねてこれたと思う。

だから僕は、新卒でNPOという選択は、自身の課題意識と目的に適合するならば、良いものであると思う。企業だって、明確な目的意識がない限り、そこにいくらいようと、得られるものは少ないのである。

NPOは自分を育ててくれる環境ではない。自分で自分を育てる環境である。

 

NPOのキャリアを形づくる

冒頭に述べたように、仕事としてのNPOの歴史はわずか20年程度である。30歳で働き始めた人はまだ50歳。NPOにおけるキャリアの形はまだ生まれていないし、ましてや新卒でNPOから始まるキャリアの道筋は不明瞭で、まるでトンネルの中のように真っ暗に感じるかもしれない。

だが、これからその選択をする者が道を踏み固め、NPOのキャリアを形づくって行くのであると思う。

自分自身としっかり対話し、自分がどこに向いたいのか、どこで働きたいのか、どんな目標と課題意識を持っているのかといった問いに答えていく。そうすることで、新卒でNPOという選択だって、企業への選択に引けをとらない魅力的で効果的な人生の選択になっていくはずだ。