アイス売りのおじさんと誇り
なぜ自分自身に誇りを持つ人はかっこいいのだろう。
ある日、アイス売りのおじさんに出会った。なんだかおもしろい帽子をかぶっていて、たくさんの子どもたちに囲まれていた。無性におじさんを撮りたくなった。
写真を撮らせてと言うと、おじさんは自転車のスタンドを立て、商売道具を整理し始めてしまった。フラれてしまったかなと思っていると、キュッと帽子をかぶり直し、キリッとポーズを決めて、真剣な眼差しを向けてくる。
かっこいい。自分の仕事や人生への誇りが溢れ出ていた。もっとおじさんを撮りたい、知りたいと思った。
しかし、呪うべきは、自分の準備不足である。カメラを向けた瞬間、画面に表示される”充電してください”の文字・・。これだから、カメラ素人なのだ。ダディンジュー祭のときもそうだった。見かけた可愛らしい女の子にモデルをお願いしておきながら、残ったのはブレブレの写真だけだ。悔しくて仕方がない。
撮りたいと思う風景や想いを表現する力以前に、カメラを充電しておかなければならないのだ。カメラが充電できていたって、人とのコミュニケーションがスムーズでなければ、相手の表情はかたいし、僕自身もリラックスしてシャッターを押せないのだ。
いつかおじさんの誇りが伝わるような写真を撮りたい。
梅佳代さんのうめめや竹沢うるまさんのlandが好きだ。相手への愛情と尊敬の念が伝わってくる。
梅佳代 (うめかよ) ありのままの日本を写すカメラマンらしくない若手カメラマン | BIRD YARD
URUMA TAKEZAWA | 写真家 竹沢うるま オフィシャルサイト
そして、いつかこんな写真を撮れたらと思う。
Kolkata's age old tradition of 'bhar' clay cups of tea - Al Jazeera English
India: Street kids publish newspaper to raise awareness - Al Jazeera English
On the road with Afghan refugees: From Kabul to Lesbos - Al Jazeera English
これらの写真の根底にあるのは、人々の暮らしであり、誇りであり、喜びや悲しみである。そういた一瞬を切り取り、誰からに伝えられるなら、それほど幸せなことはないと思う。
アイス売りのおじさんをどうにかスマホで撮影したのが冒頭の一枚。どうしてもおじさんの魅力を撮れなかったことに悔いていると、おじさんがアイスをくれた。眩しい日差しのなかで食べるアイスはとても美味しかった。