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モン州モーラミャインと魅力的な写真を撮る条件

ミャンマーのはなし 写真のはなし 旅のはなし

ミャンマーに赴任してからよく写真を撮るようになった。

この国には多くの魅力が溢れている。そう気付き、ここでの日常を撮影し始めたのがきっかけだった。

ただ、納得いく写真をなかなか撮れない。カメラの技術は素人だし、撮影者としても新米だ。どうすれば平凡な写真を越えて、魅力的なものが撮影できるのだろうか。

12月末、モン州のモーラミャインへ行ったとき、ふと気がついたことがあった。

モン州のモーラミャイン

モン州の州都であるモーラミャインは、カレン州のパアンから60km、車で1時間程度のところにある。パアンも通るタンリーアン川の河流域に栄える。

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つい最近までヤンゴンマンダレーに次いで、モーラミャインはミャンマーで3番目に大きい街だったらしい。ネピドーが3位に浮上したとのことだろうが、ゴーストタウンを彷彿させるネピドーがモーラミャインより栄えていることがあり得るのだろうか。

パアンからはタクシーを貸し切って行った。同僚の買い物に付き合い日帰り。価格はなんと45,000チャット。かなり高い。

市場を歩く

Zeigyi(ゼイジー)でCentral Marketという意味だ。市場へ行って初めて気がついたのだが、モーラミャインにはZeigyiがふたつある。タンリーアン川に面した旧市場と、内陸に入った新市場。ともに歩ける距離にあり、その通りにも多くのお店が出ているので、時間があれば、散策してみるのもおもしろい。

パアンの市場と比べるとずいぶん栄えており、モン民族やビルマ民族、インド系の人など多様な人が混ざる。雑多な雰囲気は市場好きにはたまらない。

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惹かれる写真を撮る条件

市場を散策していると、奥まったところで鶏の屠殺を行っている人たちに出会った。日本も然り、屠殺の仕事は”社会的地位が低い”人たちの仕事であることが多い。果たして彼らはどうなのだろうか。

そんな僕の想いを抱きながら作業を眺めている僕に対して、彼らは和気あいあいと作業を進める。鶏を温め、毛をむしり、解体。そして、腸など使える部位を整理していく。その手際の良さに気持ちよささえ覚える。

そうして何枚かの写真を撮影した。その一枚が僕にとって納得できるものになった。

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彼らの表情は満ちていた。それ以上に表現できる言葉を持たないが、僕は素直に彼らの仕事への誇りを撮りたいと思った。そうして撮った。彼の鍛えられた身体と、仕事風景、誇らしげな笑顔がそれを表現できたと感じた。

何かを表現するとき、技術以前に、表現者の想いや目的が不可欠だ。僕が好きな写真家たちの作品は何か強いものを訴えかけてくる。受け手によってその解釈が異なったとしても、それが写真の深みを増すには違いなく、綺麗な写真と惹きつける写真の大きな違いであると思う。

自分自身が心揺さぶられるものを撮ること、それが魅力的な写真を撮る条件だ。

一方で、被写体の素直な表情を引き出せるのだろうか。それはひとことのコミュニケーションだ。カメラを向ける前にひとことを言葉を交わす。これが被写体の表情をずいぶん変えることに気がついた。

ひとことは決して言葉でなくても良い。アイコンタクトでも言葉以上に伝えられることがある。たった5秒のコミュニケーションで表情は驚くほど変わる。

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たまたま出会った市場の片隅にある屠殺場。偶然、僕は「自分自身が心揺さぶられるものを撮ること」「ひとことのコミュニケーションを交わすこと」という、魅力的な写真を撮るためのふたつのシンプルな条件を学んだ。

そして、それが写真をまったく変えることを身体で感じた。

民族と宗教と文化の豊かさ

モーラミャインを巡っていると、教会、仏教施設、モスクが混在していることがよく分かる。タイのメーソートでも感じた民族と宗教と文化の豊かさだ。

人々で賑やう市場から少し脇道へ入っていくと、まったく異なる風景がある。

チャパティをつくるおじさん。ベンガル人か彫りの深い顔をしている。

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いまにも崩れそうな民家が密集する路地で遊ぶ子どもたち。

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パアンとは異なる空気感。何がこれを生み出しているのだろうと疑問に思う。トルコでも内陸ほど人々はコンサバだったが、モーラミャインが海にも近く交易が盛んな街だからなのだろうか。それとも街の大きさは包摂できる豊かさと比例するのだろうか。

街のお店

たつの市場を結ぶ通りにはたくさんの小さなお店が並ぶ。ひとつひとつ表情が異なるので、いくら見ていて飽きない。

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日帰りで行ったモーラミャイン。思いがけず大きな収穫を得た街だった。

ふたつの大きな市場も”市場好き”にはたまらない。またゆっくりと来たい、そう思わせられる。

次回はパアンからモーラミャインの途中に位置する、イーレーパゴダや泰緬鉄道跡にも寄りながら行ってみよう。