7days

ふつふつと不安と不満

東京本部で、事業部長にひたすら”いかに仕事ができないか”責められる。周りにいる他の職員は誰も助けてくれず、自分のマネージャーからも早く辞めろよと無言のプレッシャーをかけられる。耐えきれなくなって退職届を出し、ひとり寂しく事務所を出ていく。

本当に嫌な夢だった。先日観た「Oh Lucy!」のストーリーそのまんまなんだけども(ネタバレすみません)、主人公が自分に置きかわるなんて心臓に良くない。しかもちょうど仕事で少し揉めたこともあって、本当に現実かと思ってしまった。

oh-lucy.com

仕事や人間関係において、健全な議論や意見の衝突は必要なことだと思う。その一方で、本来は争いごとを避けたい小心者であるから、誰かと意見が対立したときは嫌な気持ちをずるずる引きずってしまう。

落ち着いてなぜこんな変な夢を見たのか考えてみると、次のようなことを無意識のうちに感じているのだと気がついた。

①求められている仕事をこなせていない
②組織や上司から適切なサポートを受けられていない
③孤軍奮闘している

海外駐在員として働いていると、このような気持ちになる人もいるのではないかと思う。特に日本の小規模なNGOは人を育てる機能が整っておらず、自分自身で乗り越えねばならないことが多いのではないか。

求められている仕事をこなせていない

日本のNGOは現地事務所に日本人を送り、この日本人駐在員が事務所を代表する体制が多いと思う。たいていの事務所が10〜15人くらいの規模で、駐在員はその国で経験が浅くとも、スタッフを引っ張っていくリーダーと事業を進めるマネージャーの役割を兼任せねばならない。でも、このふたつの役割を同時にこなすのはなかなか難しい(※少なくとも僕にとって)。

明確なビジョンと具体的なミッションのもと現地事務所へ送られるならまだしも、団体が掲げるビジョンが大きく、組織としての具体的な戦略が整備されていない場合は、リーダーシップが求められていることが多い。特に現地スタッフのキャパシティが限定的な事務所にとって、日本人駐在員に期待される役割は大きい。

一方、マネージャーとしての仕事はTask ManagementとPeople Managementのふたつに分解して考えてみる。Task Managementは事業計画にもとづき、やるべきことに優先順位を付け、スケジュール通り適切に実施されているかの管理を行う。People Managementはそれに伴うスタッフのマネジメントにあたる。

僕はこつこつ職人タイプの人間で、抽象的なものを具体的な形に落とすマネジメントは好きだし得意。そのかわりにビジョンをもとにチームを引っ張っていくというリーダーシップは弱いように思う。この点に関係する課題に対して、自分のできない感が強くなっているのだろう。

団体や上司から適切なサポートを受けられていないと感じている

社会人になって何年目だよって言われるかもだけど、自助努力ではどうにもならないところがあって、やっぱり団体や上司からの支援を受けられたらと思う。

日本の小規模NGOではそもそも人を育てるという意識も、人が育つことを支援する仕組みもないし、なのに年功序列が依然として強くて、団体内でのキャリアアップも考えられない。さらに特にNGOの駐在事務所があるような僻地において、ロールモデルとなる専門家も研修の機会も限定的だ。

駐在員からすると、どんなに働いても団体内には次の道筋が見えず、外から得られる機会もなく、転職以外の選択肢がなくなってしまう。

大前研一氏いわく「間が変わる方法は三つしかない。一つは時間配分を変える、二番目は住む場所を変える、三番目は付き合う人を変える、この三つの要素でしか人間は変わらない」である。東南アジアの田舎にある駐在事務所で働き、事務所内に住んでいると、いずれも変える機会がほとんどないのだ。こうした状況に対して、多くの駐在員はある程度経験を積んだと思った頃、新しい成長のために転職していくのだろう。

とにかく人材の流動性が激しい日本のNGO業界の課題。

前職時代は他の団体の方ともたくさんつながりがあって、いつでもコーチングを受けているような環境だった。本当に恵まれた環境だったなと思う。自分を変えていくために行動するべきときなのかもしれない。

孤軍奮闘している

ひとつ前の項目にも関わるんだけど、適切なサポートを得られていないために、業務を一人で背負っているような感覚になってくる。頼れる現地スタッフはいても、彼らにとって僕は雇用主であり、できない部分をあまり多くは見せられない気持ちがある。実際は彼らのほうが僕の得意・不得意をよく知っているのだろうけれど。

もともと人に簡単に心を開く性格でもないし、この点はどこでどんな仕事をしていても感じるのだろう。ただ、外出するたびに近所の人からどこに行くのか聞かれ、どこに行っても知り合いに会い、かと言って心を許せる利害関係のない友だちがいるわけでもなく。こうしたストレスと上手く付き合う技術は必要なのだと思う。

 

つらつらと書きながら、結局のところ、2年半近く駐在していながら、課題だらけの日々に成長できている実感がまったくないことに、不安と不満を感じているのだと気がついた。

それに対して考えられる対応策は、①限られた環境の中でも信頼できるメンターを探すこと、②自分を引き上げてくれる環境を探すこと、③自分なりのストレスマネジメントを見つけること。

はやくこの暗闇から抜け出したいものだ。

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