7days

ミャンマー南部・イェへの旅 ②豪雨のカビャーワービーチ

イェではカビャーワービーチ(Ka Byar Wa)に行こうと決めていた。

もともと山梨県出身の僕は、海に馴染みがない。美しいビーチよりも、青々とした豊かな森の方に惹かれる。しかし、この写真を見たとき、不思議なグラデーションの海と、漁船の群れに妙に好奇心を寄せられたのだ。ここに行ってみたい。

f:id:taaku3:20170818002610j:plainSawor Mon's Pics: Ka Byar Wa Beach (Eco Tourism Zone, Mon State)

だが、翌日は朝から雨だった。

3つの季節を持つミャンマーで、雨季は最も旅に適さない時期だろう。すっきりと晴れる日はほとんどなく、時に外出さえままならない。昨日雨に降られなかったことは幸運だったのだ。

やむなくイェの町を散歩する。田舎町特有ののんびりした空気。しとしとと降りしきる雨がなおさら心を落ち着かせる。山羊も雨宿り。

f:id:taaku3:20170818012318j:plain

念願のカビャーワービーチ

ふと雨が止み、晴れ間が覗いてきた。これはきっと神様の思し召しに違いない。ポンチョを買って、カメラが濡れないようにタオルでくるむ。

今日のドライバーはホテルのシェフが買って出てくれた。雨季だからお客さんが少なくて暇なんだろうか。フロントのスタッフに道を確認するシェフ。何だか既視感を覚える。後々思えば、このときに感じた不安は的中したのだ。

f:id:taaku3:20170818012324j:plain

カビャーワービーチまでは1時間ほどと聞いていた。両脇に果てしないゴムの木を抱えた田舎道をひたすら進む。そして、ぐんぐん山道を登っていく。

ふたたび雨が降り始め、徐々に雨脚が早くなる。標高が上がるにつれ低くなる気温と雨。寒さを覚える。だが、雨が降る森は静かできれいだ。霧もかかった姿も特別な感情を抱かせる。

f:id:taaku3:20170818012332j:plain

ふと海抜ゼロメートルのビーチに行くのになぜこんなに山道を登るのだろうという疑問が湧く。そんな疑問をよそにひたすら進むシェフ。そうして、峠の上まで来ると大きな看板が見えてくる。タニンダーリ管区にようこそ。あれ・・?

そう、なんと僕らはモン州からタニンダーリ管区に続く8号線を来たのだ。カビャーワービーチにはずっと手前で左折しなければならない。って、フロントのスタッフが言っていたことを思い出した。

なんとシェフもカビャーワービーチに行くことが初めてだったのだ。イェに来たのは2ヶ月前。大して僕と変わらないじゃないか(2回目)。カッパも傘も持たないワイルド・シェフ。

f:id:taaku3:20170818012341j:plain

結局、1時間かけて登ってきた道を30分で駆け下りる。シェフも懲りたらしく、曲がっては人に道を訪ね、曲がって人に道を尋ねる。そうして、2時間半もかけて、カビャイワーに到着したのだ。

だが、到着したころには晴れ間も消え、豪雨。どこが道なのかよく分からくなった水浸しの村の中を進み、例の景色が見られるパゴダまで登る。

f:id:taaku3:20170818012407j:plain

f:id:taaku3:20170818012417j:plain

だが、もはや豪雨でなんにも見えないのだ。時折見せる青い海から想像するに、乾季はずいぶんきれいなんだろうなと思う。

f:id:taaku3:20170818012347j:plain

f:id:taaku3:20170818012400j:plain

ちょうど引き潮のようだった。のんびりした漁村の風景が残っている。

f:id:taaku3:20170818012431j:plain

f:id:taaku3:20170818012441j:plain

f:id:taaku3:20170818012448j:plain

帰り道、最も雨が強かった。激しい雨のなかでバイクを乗ると、雨粒が弾丸のように顔や腕にあたり、ものすごく痛いのだ。カッパも傘も持たない、ワイルド・シェフも遂に弱音を吐いた。すっげえ寒い。雨の中、往復4時間ちょっと行程を運転してくれたのだ。こういう真面目さがミャンマー人らしいのだが、何だか雨の日に行きたいとわがままを言ったことに申し訳なくなってしまう。

ホテルに戻ったことには身体がすっかり冷え切ってしまった。案の定、風邪を引いてしまったのは後日談。

イェからパアンへ

翌朝、行きと反対の道を辿り、モーラミャイン経由でパアンへ戻る。

f:id:taaku3:20170818012455j:plain

地球の歩き方にも乗っていない小さな田舎町。だが、期待していた以上におもしろい町だった。ふたつのビーチ、人々が住む漁村、夜出店で賑やうパゴダ。近くにはBanana Mountainと呼ばれる大きな僧院もあり、イェ側をボートで巡るツアーもあるようだ。

これから南部の開発が進むにつれ、ダウェイやベイへの観光客も増えていくだろう。モーラミャインからダウェイの中継点であるイェ。こののんびりした田舎町で1日過ごすのも悪くない。