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トルコと信じること

トルコに来て、はや1ヶ月が過ぎた。ようやく仕事の雰囲気にも生活にも慣れてきて思うのは、トルコは想像以上に住みやすい国だ。99%がイスラム教ながら、世俗主義を徹底してきた歴史的背景もあり、戒律が厳しいということはない。都市部であれば、電気も水道も整備され、モールに行けば、日本で必要なものは何でもそろう。それでありながら、野菜や果物が安くて美味しい。トマトが1kgで100円、スイカが1玉で300円。いんげんやほうれん草、レタスなど、日本で食べ慣れた食材もすぐ手に入る。

そして、最も嬉しいのは、どんな洗濯物も2時間あれば乾くことだ。もちろん地域によるだろうが、湿度が低く、ジーパンだってすぐ乾く。とっても快適。ただ、夏場は気温がかなり上がる。天気予報によると、今週の最高気温は40度・・。それでも湿度がないぶん、日陰に入り、風があれば、思った以上に快適に過ごせる。

そんなトルコはいま、ラマダン中。今月の6日から約1ヶ月間、イスラム教徒は朝3時頃から夜の8時までいっさい水も食事も摂らない。僕も1日だけ断食をしてみた。昼食を抜くことは難しくないのだが、この暑さのなかで水分を取れないことは本当に辛かった。夕方の疲れはずっしり重く、ときどきぼーっとしてしまった。イスラム教の友人に、それがヘブンだなんて冗談を言われたが、断食明けのイフタールは最高に美味しかった。

ラマダン中にトルコに滞在すると驚くことがある。それは太鼓。ラマダン初日、深夜2時過ぎに大音量で鳴る太鼓の音で目覚めた。車のトランクを開けて、後部座席で太鼓を叩いている。翌日知ったのだが、起きるほどに大きな音なのは理由があり、断食がはじまる前に食事を取り忘れないように起こすための太鼓なのだ。断食をする人たちは、夜早めに寝て、2時頃に起きて食事をしたあと、再び寝て仕事に行く。慣れてしまうのと気づかず寝ていることも多いが、トルコに来たことに、朝4時のアザーンに毎日起こされていたことを思い出した。ちなみに、その次は朝6時の騒音がひどいごみ収集車である。

そうした古い文化が残る一方で、NGOで働くトルコ人はリベラルな人も多い。無宗教もいれば、イスラム教ながらお祈りはしない人、断食をしない人、さまざまである。ラマダンが食べものが豊かでない時代の古き風習であり、合理的な理由からやめた人もいた。もちろん断食をし、毎日5回のお祈りをする人も数多くいる。イスラム教徒と言えども、その姿は決して一様ではないのだ。

ただ、そのなかでも共通することがある。彼らのおおくは小さな優しさを自然と行う。ベビーカーを引く女性が階段を降りることを助けたり、気を利かせて自転車事故をふせいだ少年に良いドライバーだと褒めてみたり、電車で女性に席を譲ったり、たくさんの場面に出会ってきた。僕たちもそうだ。日本にいたって同じような風景をたくさん見てきた。だからこそ、思うのは、やっぱり人を信じようということだ。

NGOで働くなかで、どうしようもなく、途方に暮れることがある。もっと厳しい現実はたくさんあるはずなのに。それでも、変えられると信じていける気がするのだ。